ヘルスケア

高僧に学ぶ!マインドフルネスのすすめ

突然ですが、マインドフルネスって知っていますか?

ビジネス本やテレビ、講演会などで聞いたことあるよ、という人も多いのではないでしょうか。

最近では医療の現場や福祉の現場、さらにはIT企業などでも取り入れられているマインドフルネスについて、その効果から実践方法までを解説します。

医師としての見解を交えながら紹介できればと思いますので、最後まで読んでもらえると嬉しいです。

マインドフルネスとは?

そもそもマインドフルネスとは何でしょう?

mindfulness:【名】自分の身に今起きていることに意識を集中させて、自分の感情・思考・感覚を冷静に認識して、現実を受け入れること。

『英辞郎 on the WEB』

マインドフルネスは欧米ではすでに、かなりの市民権を得ていて、スティーブジョブズが実践していたということでも有名になりました。

また、Googleやアップルといった大企業でも積極的に取り入れられており、一般の人であってもマインドフルネスを実践する人は決して少なくありません。

マインドフルネスとは、大きく2つのステップにより構成されます。

上の辞書的な意味と関連させて説明すると、

①自分の身に”今”起きていることに集中すること

②冷静に認識して、現実を”受け入れる”こと

ポイントは”今”をありのまま”受け入れる”、ということ。

このことからマインドフルネスは「今を大切にする生き方である」という人もいるのです。

由来は仏教のことばと言われていて、
八正道(8つの正しい道)という教えのひとつ、「正念」を英語に訳したのがマインドフルネスと考えられています。

正念とは「正しい思考、心の活動」という意味を表し、
現代でもよく使われる”正念場”という言葉の語源にもなっています。

すなわち
マインドフルネス=正しい心の活動

ということができますね。

このマインドフルネスが注目を浴びるようになったのは、1980年から1990年代で、マサチューセッツ工科大学のジョン・カバット・ジン(Jon Kabat-Zinn)博士が、同大学医学部内にマインドフルネスセンター(当時はストレス低減センター)を創設し、ストレスを抱える患者に対しての治療にマインドフルネスを取り入れたことが大きなきっかけとなったといわれています。

その後メディアでも多数取り上げられるなどして、大きな注目を浴びるようになり、”瞑想”や”禅(ZEN)”のようにもはや宗教の枠組みを超えて全世界で実践されるようになりました。

効果やメカニズムに関する研究も行われるようになり、
英国でうつ病の患者に対する治療として抗うつ剤と同等の効果が得られたことが報告されると、Lancetという最も有名な医学ジャーナルの一つに論文が掲載されるなどして、マインドフルネスの臨床応用に注目が高まるきっかけとなりました。
(文献:Kuyken W,et al.Effectiveness and cost-effectiveness of mindfulness-based cognitive therapy compared with maintenance antidepressant treatment in the prevention of depressive relapse or recurrence (PREVENT): a randomised controlled trial.Lancet. 2015 Apr 20)

この研究が行われたイギリスではうつ病に対する治療ガイドラインにおいても(注:後療法として)マインドフルネスが推奨されているなど臨床の分野でもすでに適応が広がっているといえるでしょう。

さて、2000年頃になると、日本でも次第に普及をはじめ、Yahoo! JAPANやメルカリといった大企業やIT企業でいち早くマインドフルネスが取り入れられると、同じように生産性の向上やストレス軽減の効果を期待して導入する企業も多くなってきました。

近年では、医療従事者や介護職、教育関係者に対する導入などが新たに期待されているようです。
また、スポーツ選手などのトップアスリートへのメンタルトレーニングとしても高く注目されています。

マインドフルネスの効果

さて、マインドフルネスの効果ですが、
主にストレスの軽減や自己肯定感の上昇、集中力の増強などが言われています。

そのため、前述のように生産性の向上を目的として企業で導入されたり、メンタル維持のためにアスリートに応用したりするといったわけですね。

先ほど説明したように世界では多くのマインドフルネス研究が行われていますので、これらの効果についても多くの論文が執筆されています。

また、うつ病だけでなく不眠症や不安障害といった様々な精神疾患(注:不眠症は精神疾患によるとは限らない)にも効果があることが報告されています。

不眠症に関しては2018年にZouらがマインドフルネスを使った気功法によって慢性疾患に伴う不眠症が改善したことを報告し、様々な原因の不眠症に対するマインドフルネスの応用も期待されています。(文献:Zou L, et al. A Systematic Review and Meta-Analysis of Mindfulness-Based (Baduanjin) Exercise for Alleviating Musculoskeletal Pain and Improving Sleep Quality in People with Chronic Diseases. 2018 Jan 25;15(2). )

不安障害に関しては2013年にKhouryらが大きなメタ解析を行ったことから注目が集まり、現在に至るまで多くの研究結果が報告されています。(文献:Khoury B, et al. Mindfulness-based therapy: a comprehensive meta-analysis. 2013 Aug;33(6):763-71)

近年では、アンチエイジングの分野でもマインドフルネスが注目されていて、”テロメア”と呼ばれる老化に関係して寿命を決定している染色体を長くする(=寿命を延ばす)という驚きの研究もあるのです。

マインドフルネスを実践しよう

いよいよ、マインドフルネスの実践に入りましょう。
まずはマインドフルネスの基本からおさらいして、具体的な実践方法に移ります。

マインドフルネスの基本は、
今この瞬間の体験に注意を向けて、ありのままに受け入れること
でしたね。

まずは、意識を今に置くところから。

マインドフルネスの方法にはたくさんありますが、
ここでは皆さんが最も実践しやすい呼吸瞑想というやり方を紹介します。

背筋を伸ばして軽くあごをひきましょう。
椅子の上でも床の上でも構いません。

そして、目を閉じて呼吸に注意を向けてください。

ありのままの呼吸にまかせて、鼻を空気が出入りするのを感じてください。
鼻が通りにくい、というときは横隔膜の動き、おなかのふくらみを意識してみてください。

こうして、呼吸をただ観察していくことを最初は30秒程度から始め、慣れてきたら1分、5分、10分と次第に長くしていくとよいでしょう。

途中で雑念が浮かんできても構いません。
大事なのはありのままを受け入れる、ということです。

雑念がわいたら、また呼吸に意識を戻し注意をもとに戻すだけで構いません。

こうした静かな観察を続けてみてください。

やってみると、30秒でも結構難しいのが分かると思います。

判断しないで、ありのままを受け入れること
今に、集中すること

これらが日々いかに出来ていないか、ということですね。

自分のための時間として”寝る前に少しだけ”といった形でも、取り入れてみるといいでしょう。

ABOUT ME
そう先生
慶應義塾大学卒の都内勤務医。医療情報を一般の人にもわかりやすく、そして「とにかく健康に生きる」をモットーに日々情報を発信していきます。フリーのライターをしながら教育ベンチャーのお手伝いなんかもしています。